うつなわたしのブログ

年々鬱々な日記帳

晩夏

夏の気だるさ、アスファルトの熱気、花火の音、秋の気配。夏のにおいが、夏の記憶が、無限に圧縮された時間の記憶が、わたしのどこからか湧き出ては消えていく。遠い夏の日はゆめ、可能性、あまったるい幻想、未来の白昼夢、それらは遥か彼方に置かれて、誰か他のひとたちの夢となっていまもどこかで立ち現れては消えていっている。

透明な青い海とグランブルーの誘いが初夏の薄い色の時間とともにわたしにあらわれて、わたしをどこか遠くの国か島へと連れて行こうとした。わたししかいないわたしの部屋には漆黒と、電灯のもれた灯が照らし出す世界とがわたしのリアルで、その静寂はわたしのゆめである漆黒の空をバニラスカイが取って代わるころには夢幻となってわたしの体全体をつつみこむ。そして、時間のない時間の中でひかりの王国を作り上げることを夢見続けていた遠い夏の日が、その鳴動が微かに、夏の終わりの気配とともにわたしを通り過ぎていった。