うつなわたしのブログ

年々鬱々な日記帳

春の雪

森羅万象は巡り巡って、何度もなんども同じ位置に同じ様に、かつて同じ経験を繰り返したかの様な歴史を、永遠の線上にその時々のリズムの足跡を残しては消えてゆく。春の雪と春の風に当てられて、自己の想いまで新しく塗り替えられようとするこれらは自然の一部の流転のシステムに抗う術がないということを示しているし、かつての記憶が春の気配とともに蘇るような錯覚に陥るのは恐らくは嗅覚が記憶と密接な関連を示すからであろうが、いつものことながらこの一連を不思議に感ずる。人の感情や、想いというものは春の中の雪のように脆く儚いものであって、その実態は幻想である。あらゆる年月を重ねて成就したもの、繰り返される輪転の末の邂逅もすべてが一抹の泡であり、すべては幻であるようだ。わたしの記憶も、彼らの記憶も、彼方の記憶も…。